QUADU. 5台目修理
同時修理QUAD−QCU QUAD−QCU. 2台目 QUADU. 6台目  平成29年10月28日到着  12月17日完成
A. 修理前の状況
  • 今から30年位前に中古で購入した真空管アンプクウォードUの修理相談です。
    このアンプは数年間使用せず保管しておりましたが、一週間前、古いスピーカー(8Ω)1本の購入を機に
    前記アンプに接続してFM放送を楽しんでおりました所、本日10月18日アンプが壊れました。
  • アンプが壊れるまでの7日間の状況は下記です。
    • @アンプの電源を入れてFM放送を聴く、ボリュームを1.5くらい上げ、しばらくするとスピーカーから
        突然「ボッ!!」と音がし音量が半分くらい下がる。
        音量を再度上げると音量は大きくはなるものの音に厚みがない。
    • Aそのまま、FM放送を聴いているとスピーカーから小さいノイズが出ている。
        古いスピーカーだからこんなもんかなと思っていると、突然「バリバリ!!」「シャー!!」酷いノイズ!!
        速攻アンプの電源を切る。
  • 上記@Aの状況から私なりに考え、パワーアンプの真空管「KT66」を2本、「GZ32」を1本、
    プリアンプの真空管「EF86」を1本交換しアンプの電源を入れてFM放送で様子見る。
    (工房注記..「6267」も交換すべき)
    約2時間半くらい経過しスピーカーからの小さいノイズは残るものの大きなノイズは出ないし大丈夫かな?
    と思った矢先スピーカーから「ボッ!!」と音が出てアンプの電源が切れてしまいました。
    (工房注記..電源2Aヒューズが溶断した)

B. 原因
  • 電源トランスの高圧巻き線の層間短絡の為、電源2Aヒューズが溶断。


T. 電源トランス点検
  • 層間絶縁破壊(巻き線間短絡)の点検。

TO.出力トランス点検。
  • 層間絶縁破壊(巻き線間短絡)の点検。

C. 修理状況
  • 電解コンデンサ交換・追加。
    フイルムコンデンサー交換・追加。
    KT66へヒューズ(200mA)挿入
    劣化ハンダ補正。
    電源トランス修理、1次電圧を95V、100V、105Vにする。
    整流管をダイオードに変更。
    電源フューズ交換。


U. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定
V. TubeTester HickokTV−2B/Uによる予備真空管測定、別ファイルが開きます。
D. 使用部品
  • 電解コンデンサー                      2個追加。
    電解コンデンサー                      1個交換。
    フイルムコンデンサ−                   3個交換。
    フイルムコンデンサ−                   2個追加。
    ヒューズ(200mA)                     2個追加。
    整流管をダイオード                    4本追加。
    ヒューズ(2A)                        1本交換。


E. 調整・測定

G. 修理費          60,000円  オーバホール修理。
                           但し、電源トランス修理費、真空管は別途です。

Y. ユーザー宅の設置状況

S. QUADU の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 前から見る。 真空管は交換後の物。
A12. 点検 前右から見る
A13. 点検 後から見る
A14. 点検 後左から見る
A15. 点検 上から見る
A16. 点検 真空管を抜き、上から見る
A21. 点検中 下前左から見る
A22. 点検中 下後右から見る
A23. 点検 下から見る
A24. 点検 下蓋裏の錆
A25. 点検 下蓋を取り、下から見る
A31. 付属真空管。 左から、GZ32、KT66、2本目KT66、6267、2本目6267
A32. 付属真空管KT66。 未使用新品との事ですが、真ん中のプレート電極が焼けています。
A41. 点検中 電源ブロック電解コンデンサー「16μF×2/450V」。 15.359μF、ESR=4.5Ω。
                           ESRに付いてはmuRataNichiconルビコンPanasonic参照
                           この測定でNGな物はダメですが、負荷試験方が正確です。
A42. 点検中 電源ブロック電解コンデンサー「16μF×2/450V」。 7.757μF、ESR=6.7Ω。
                           ESRに付いてはmuRataNichiconルビコンPanasonic参照
                           この測定でNGな物はダメですが、負荷試験方が正確です。
A43. 点検中 交換する電源ブロック電解コンデンサー「100μF×2/500V」。 107.65μF、ESR=1.7Ω。
                           ESRに付いてはmuRataNichiconルビコンPanasonic参照
                           この測定でNGな物はダメですが、負荷試験方が正確です。
A44. 点検中 交換する電源ブロック電解コンデンサー「100μF×2/500V」。 106.87μF、ESR=1.9Ω。
                           ESRに付いてはmuRataNichiconルビコンPanasonic参照
                           この測定でNGな物はダメですが、負荷試験方が正確です。
T. 電源トランス点検。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
T0. 電源トランス点検。
    左の安定化(電源・周波数)電源を使用する。
             層間絶縁破壊(巻き線間短絡)の為、入力AC80V/60Hzで1.95Aも流れる。
TO1. 出力トランス点検。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
                   8ΩSP出力端子へ1kHz5.0Vを入力し、各巻線電圧を測る。
  • 測定値は左から、8ΩSP出力端子への入力電圧=5.00V
        KT66プレート巻線電圧=34.92V、KT66プレート巻線電圧=34.80V、
        KT66カソードNFB巻線電圧=7.82V、NFB巻線電圧=2.50V。    
TO2. 6台目出力トランス点検。8ΩSP出力端子へ1kHz5.0Vを入力し、各巻き線電圧を測る。
  • 測定値は左から、8ΩSP出力端子への入力電圧=5.01V
        KT66プレート巻線電圧=34.65V、KT66プレート巻線電圧=34.61V、
        KT66カソードNFB巻線電圧=7.77V、NFB巻線電圧=2.47V。   
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C1. 修理前 下から見る。
C2. 修理中 下から見る。 終段出力真空管KT−66へヒューズを増設、これで出力トランスは安泰。
                コンデンサー等の端子への接続は絡げる+半田付けがプロ(金を貰う)の仕事。
C3. 修理後 下から見る。
C21. 修理前 下蓋裏の錆
C22. 修理(塗装)後 下蓋裏の錆、軽くラッカーで押さえる。
C3. 交換部品(QUAD QCU+QUADU. 1−2台目共)。
U. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
    真空管ハンドブック(規格表)の、
    6267(EF86)相互コンダクタンス=2000μmho「Ep=250V、Ip=3mA、Esg=140V、Eg1=−2V」。
    KT66相互コンダクタンス=6300μmho「Ep=250V、Esg=250V、Ip=85mA、Eg1=−15V」。
1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。

GZ32(5AQ4)エミション測定=VacuumTubeTester Hickok TV-2B/U の「5U4」検査方法による、破棄値=75。
U0. 付属真空管。 左から、GZ32、KT66、2本目KT66、6267、2本目6267
U1. 付属1本目「6267」。 Gm測定=2500μmho、IP=3.10mA。
        Cレンジ=3000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=150V、Eg1=−2V」
U2. 付属2本目「6267」。 Gm測定=2500μmho、IP=3.18mA。
U31. 付属1本目「KT66」。 Gm測定=6600μmho、IP=60.1mA。
        Bレンジ=15000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=250V、Eg1=−15V」
U32. 付属2本目「KT66」。 Gm測定=6100μmho、IP=60.0mA。
U41. 付属「GZ32(5AQ4)」ユニット1 エミション測定=100、Ip=3.13mA。
      Vacuum Tube Tester Hickok TV-2B/U の「5U4」検査方法による、破棄値=75。
U42. 付属「GZ32(5AQ4)」ユニット2 エミション測定=100、Ip=3.13mA。
測定電源は安定化電源を使用し、AC115V 60Hzで行う。
プレート波形を観測しながら測定する。
E. 測定・調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   中 SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
        表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
   よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E1. Radio_50Hz入力、SP出力電圧11V=15W、 0.478%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E2. Radio_100Hz入力、側SP出力電圧11V=15W出力、 0.742%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E3. Radio_500Hz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.499%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E4. Radio_1kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.560%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E5. Radio_5kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.800%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E6. Radio_10kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.554%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E7. Radio_20kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.909%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E21. MM_50Hz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.872%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. MM_100Hz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.916%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250kHz、右=1kHz。
E23. MM_500Hz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.602%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. MM_1kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.402%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. MM_5kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.815%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=100kHz。
E26. MM_10kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.553%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. MM_20kHz入力、SP出力電圧11V=15W出力、 0.916%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=500kHz。
Y. ユーザー宅の設置状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
Y1. 設置状況、 正面から見る。
S. QUADU の仕様(マニアル・カタログより) 
型式 管球式アンプ QUADU
出力 15W時20Hz〜20kHz
全高調波歪率 0.1%(70Hz 出力12W時)0.25% (50Hz 出力12W時)
周波数特性 20Hz〜20kHz /-0.2dB。10Hz〜50kHz /-0.5dB。
入力感度 1.4V(出力15W時)
SN比 80dB以上
ダンピングファクター
電源 AC200-250V/40-80Hz(100-130V)
使用真空管 KT66×2、 EF86×2、 GZ32
外形寸法 幅313×高165×奥行106mm
重量 約9kg
                  quad2_518
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