FM Acoustics FM800A 修理記録
2020/5/29到着    完成
A. 修理前の状況
  • 80歳に手が届く年配者です。
    最近、百寿者の母の介護と看取りを終え、久方振りにオーディオ機器による所有CD/LPレコードの再生を再開しました。
    手始めに手持ちのアンプAcoustic Research Limited Power Amplifier Model 200 を使用して再生音楽を楽しみ始めたところです。
    次いで、昔ヨーロッパ在住の折使用していて、いずれゆっくり出来るようになってから使用するのを楽しみにしていたアンプFM Acoustic FM800A を、重量で腰を痛めないように注意してようやくの思いでシステムに組み込みスウィッチオンして使い始めました。
    すぐ気付いたのは左右の音量に若干差があるということでしたが、短期間この状態で使用し続けてみました。
    しかし、そのうち電源が入らなくなってしまいました。
    大変気に入った音を紡いでくれて、欧州生活の思い出満杯のこのアンプが、さあ、いよいよという間もなく故障してしまい本当に残念に思っていました。
    そこで、何とか修理して再使用できる方法はないかとネットで修理工房を探していて、複数のFM Acoustic Amp の修理歴がある貴工房のウェブサイトに運よく遭遇できました。
    そこで、早速ご連絡をさせて頂いた次第です。 大変お忙しいようですので、すぐには無理かもしれないとは思いますが、貴工房に見て頂き、貴工房のご判断にお任せして通常修理ないしはオーバーホールによりこのアンプを復活して頂けたら幸甚に思います。


B. 原因
  • 初段TR(トランジスター)不良。
    1部コネクターが緩くなっています。

C. 修理状況
  • 電解コンデンサー交換(オーディオコンデンサー使用)。
    VU−LED交換。
    配線手直し、補強。
    初段TR(トランジスター)交換。
    突入電流抑制回路修理。
    SP接続リレー交換。
    1部コネクターカシメ。
    電源コード交換。
D. 使用部品
  • バイアス半固定VR                  4個。
    抵抗                           個。
    電解コンデンサー                   個。
    フイルムコンデンサー                 個。
    LED                            個。
    リレー                          1個。
    電源コード                      1個。

                        
E. 調整・測定

F. 修理費  ,000円   オーバーホール修理費

Y. ユーザー宅の設置状況

S. FM Acoustics FM800A の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右上から見る
A13. 点検中 後から見る
A142. 点検中 後から見る、SP接続端子。
A143. 点検中 後から見る、SP接続端子。 WBT WBT−0730PLが使用可能、定価で工賃込み。
A144. 点検中 後から見る、SP接続端子裏配線。
A145. 点検中 後から見る、SP接続端子裏配線。大きな半田タレ球が今にも落ちそう。
A15. 点検中 XLR入力端子見る。
  • アメリカ式
      1番ピン・・・アース(シールド)
      2番ピン・・・コールド(−)
      3番ピン・・・ホット(+)
  • ヨーロッパ式
      1番ピン・・・アース(シールド)
      2番ピン・・・ホット(+)
      3番ピン・・・コールド(−) 2番ホット。
A152. 点検中 XLR入力端子見る。 後発の金メッキ製に交換可能。
A16. 点検中 電源コード取り付け部。
A162. 点検中 電源コード取り、3Pインレットに交換可能。
            電圧切り替えSWを内部に引き込み取り付け、穴が大きいので穴埋め対策必要。
A17. 点検中 後左上から見る
A18. 点検中 上から見る
A21. 点検中 下前から見る
A22. 点検中 下前左から見る
A23. 点検中 下後から見る
A24. 点検中 下後右から見る
A25. 点検中 下から見る。
A26. 点検中 上下蓋を取り、下から見る。
A31. 点検中 上下蓋を取り、上から見る。
A32. 点検中 プロテクトリレーの接着剤が取れている。
A33. 点検中 電源SWの雑音防止コンデンサーが少し膨れている。
A41. 点検中 冷却フアン点検。
A42. 点検中 冷却フアン点検。フアンヒダに埃無。
A51. 点検中 VU−LED。 2個ほど輝度が違う。
A61. 点検中 DC漏れ測定。30分通電後 左側=24.48mV、左側=−14.05mV。
  • SP接続端子電圧 出力(8Ω)
      8V         8W
      1V         0.125W
      0.8V       0.08W
      100mV     1.25mW=0.00125W
      50mV      0.313mW
A71. 点検中 電源プラグ交換可能。
A71. 点検中 使用する電源コードプラグ(Panasonic WF−5018)。
A72. 点検中 交換する電源コード(3.5スケア)、 PSE合格品なので被服が分厚い!
A73. 点検中 交換する電源コード、 PSE合格品なので被服が分厚い!
A74. 点検中 交換するK色電源コード。 電気的性能や耐候性能は上記灰色と同じです。
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C0. 修理中 前パネル、アンプブロックを取り外して修理する。
C11. 修理中 右側終段TR(トランジスター)
C12. 修理中 右側終段TR(トランジスター)、上に有るのがフアン制御用サーミスター
C13. 修理前 右側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板
C14. 修理後 右側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板。 電解コンデンサー2個交換。
C15. 完成右側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板。 洗浄後防湿材を塗る。
C16. 修理前 右側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板裏。
C17. 修理(半田補正)後 右側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板裏。 半田を全部やり直す。
C18. 完成右側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板裏。 洗浄後防湿材を塗る
C21. 修理前 右側ドライブTR(トランジスター)基板。
C22. 修理前 右側ドライブTR(トランジスター)基板裏。
C23. 修理(半田補正)後 右側ドライブTR(トランジスター)基板裏。 半田を全部やり直す。
C24. 完成右側ドライブTR(トランジスター)基板裏。 洗浄後防湿材を塗る
C31. 修理中 左側終段TR(トランジスター)
C32. 修理中 左側終段TR(トランジスター)、上に有るのがフアン制御用サーミスター
C33. 修理前 左側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板
C34. 修理後 左側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板。 電解コンデンサー2個交換。
C35. 完成左側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板。 洗浄後防湿材を塗る。
C36. 修理前 左側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板裏。
C37. 修理(半田補正)後 左側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板裏。 半田を全部やり直す。
C38. 完成左側出終段TR(トランジスター)バランス抵抗基板裏。 洗浄後防湿材を塗る
C41. 修理前 左側ドライブTR(トランジスター)基板&出力リレー基板。
C42. 修理後 左側ドライブTR(トランジスター)基板&出力リレー基板。 リレー交換。
C43. 完成左側ドライブTR(トランジスター)基板&出力リレー基板。 洗浄後防湿材を塗る。
C44. 修理前 左側ドライブTR(トランジスター)基板裏。
C45. 修理(半田補正)後 左側ドライブTR(トランジスター)基板裏。 半田を全部やり直す。
C46. 完成左側ドライブTR(トランジスター)基板裏。 洗浄後防湿材を塗る。
C51. 修理前 メイン基板
C52. 修理後 メイン基板 バランス・バイアス調整用半固定VR4個、電解コンデンサー4個、抵抗2個交換
C53. 完成メイン基板 洗浄後防湿材を塗る
C54. 修理前 メイン基板裏
C55. 修理(半田補正)後 メイン基板裏 半田を全部やり直す。
C56. 完成メイン基板裏 洗浄後防湿材を塗る
C6. 修理中 前パネルを傾け、修理する。
C61. 修理前 VU表示LED基板
C62. 修理後 VU表示LED基板 LED4個交換。
C63. 完成VU表示LED基板裏、 洗浄後防湿材を塗る
C64. 修理前 VU表示LED基板裏
C65. 修理(半田補正)後 VU表示LED基板裏、 半田を全部やり直す。
C66. 完成VU表示LED基板裏、 洗浄後防湿材を塗る
C71. 修理前 定電圧基板
C72. 修理後 定電圧基板、 電解コンデンサー5個交換
C73. 完成定電圧基板、 洗浄後防湿材を塗る
C74. 修理前 定電圧基板裏
C75. 修理(半田補正)後 定電圧基板裏、 半田を全部やり直す。
C76. 完成定電圧基板裏、 洗浄後防湿材を塗る
C81. 修理前 R側入力VR基板裏。
C82. 修理(半田補正)後 R側入力VR基板裏、 半田を全部やり直す。
C83. 完成R側入力VR基板裏。 洗浄後防湿材を塗る。
C84. 修理前 L側入力VR基板裏。
C85. 修理(半田補正)後 L側入力VR基板裏、 半田を全部やり直す。
C86. 完成L側入力VR基板裏、 洗浄後防湿材を塗る。
C91. 修理中  プロテクト・リレー。 取り付け部分を接着する。
C92. 修理中  プロテクト・リレー。 取り付け部分を外側から接着し鉄線で補強する。
C93. 修理中  プロテクト・リレー。 取り付け部分を接着する。
C94. 修理中  プロテクト・リレー。 さらに、ホットボンドで固定する。
C95. 修理中 プロテクト・リレー点検。 接点は綺麗。
C96. 完成プロテクト・リレー取り付け。
C81. 修理前 入出力端子。
C82. 修理(半田補正)後 入出力端子、 半田を全部やり直す。
C91. 修理前 底蓋止ネジ、折れている。
C92. 修理中 底蓋止ネジ、 タップをたっている所。
CA1. 交換部品
CA2. 交換部品 出力リレー。
CB1. 修理前 上から見る
CB2. 修理後 上から見る
CB3. 修理前 下から見る
CB4. 修理後 下から見る
E. 調整・測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E1. 出力・歪み率測定・調整。
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E21. 50Hz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.00388%歪み。
               L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0031%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. 100Hz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.00392%歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0033%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. 500Hz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0053歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0048%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. 1kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0068%歪み。
               L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0063%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. 5kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0192%歪み。
              L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0190%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. 10kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0230%歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0229%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. 20kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0141%歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0139%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=125kHz、右=500kHz。
E3. フルパワーなので、24V高速フアンが全回転でクーリング。
E41. 0dB=VUメータ測定・調整。 1Khz 150W出力。
E42. −30dB=VUメータ測定・調整。 1Khz 。
E5. 完成  24時間エージング、 左は RP1110. 25台目
Y. ユーザー宅の設置状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
Y1. 設置状況、 正面から見る。
S. FM Acoustics FM800A の仕様(マニアルより)
型式 メインアンプ FM800A
出力(r.m.s、チャンネル当り) 2Ω=850W、4Ω=600W、 8Ω=400W
周波数特性(50W出力時) 5Hz〜300kHz -3dB
高調波歪率 0.5%以下(20Hz〜20kHz)
IM歪率(定格出力時) 0.25%以下(60:7kHz=4:1、Phono入力)
SN比 Phono=57dB
Tuner、Tape=75dB
ダンピングファクター 最大 800
入力感度 0.8V/4〜5kΩ
モード stereo、mono、null
消費電力 無音時=250W
30%出力時=700W
最大出力時=2500W
外形寸法 幅483×高さ110×奥行254mm
重量 29kg
                      fm800a-25
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